交通事故コラムcolumn

  • 2019.10.04

死亡事故の場合に受け取れる慰謝料の金額は?

 交通事故に遭われた方が不幸にも亡くなってしまったとき,加害者の任意保険から死亡慰謝料が支払われることになります。死亡慰謝料とはなんなのか,保険会社から提示される慰謝料の金額は適正なのか,相続とはどういう関係なのかなどについて,弁護士がご説明します。

 



目次

1 死亡事故の場合に支払われる損害賠償の費目

2 死亡慰謝料と遺族慰謝料

3 3つの算定基準

4 賠償金と相続の関係

5 争点としての位置づけ

6 まとめ



本文

1 死亡事故の場合に支払われる損害賠償の費目

 交通事故で被害者の方が亡くなってしまった場合,基本的な損害賠償金の内訳は下記のとおりです。なお,即死ではなく一定期間入院後に亡くなったケースを想定しています。
 ①治療費
 ②入通院交通費
 ③入院雑費
 ④入院看護料
 ⑤交通費
 ⑥休業損害
 ⑦傷害慰謝料(入通院期間に応じて算定されます。)
 ⑧死亡慰謝料
 ⑨遺族慰謝料
 ⑩逸失利益(将来得られるはずだった収入に相当するものです。)
 ⑪葬儀関係費用
 このうち,①~⑦は亡くなるまでの期間についての賠償金で,⑧~⑪は亡くなった後に生じる賠償金です。



2 死亡慰謝料と遺族慰謝料

 慰謝料とは,交通事故により受けた精神的な苦痛に対する補償です。死亡事故の場合,入通院に対応する傷害慰謝料のほかに,死亡したことによる死亡慰謝料と遺族慰謝料の賠償を受けることができます。
 死亡慰謝料とは,亡くなった被害者の精神的苦痛に対応するものです。被害者自身は亡くなっているため,ご本人が亡くなったこと自体への精神的苦痛というのは観念し難いようにも思えますが,損害賠償の世界では被害者自身の精神的苦痛の存在が認められています。
 これに対し遺族慰謝料とは,被害者の方を交通事故で失ってしまったことについてのご家族の精神的苦痛に対応するものです。死亡慰謝料をはじめとした賠償金は,被害者のもとで発生した請求権を相続人が相続するという流れになりますが,遺族慰謝料だけは初めから遺族のもとで発生するため,相続という過程を経ないという特徴があります。遺族慰謝料の請求権者は,被害者の父母,配偶者および子です。詳しくは遺族慰謝料についてのコラムをご覧ください。



3 3つの算定基準

 慰謝料には,金額の異なる3つの算定基準が存在します。金額の低い方から,自賠責保険の基準,任意保険会社の基準,裁判基準となります。
 自賠責基準での死亡慰謝料及び遺族慰謝料の金額は下記のとおりです。

 ①死亡慰謝料:350万円
 ②遺族慰謝料
  ・遺族が1名の場合は550万円
  ・遺族が2名の場合は650万円
  ・遺族が3名以上の場合は750万円
   ※被害者に被扶養者がいる場合は上記金額に200万円を加算

 任意保険基準と裁判基準では,死亡慰謝料と遺族慰謝料を峻別せず,総額で基準が設けられています。任意保険基準については,各社が独自の基準を設けているため一概に述べることはできませんが,過去に全ての任意保険会社が共通で使用していた旧任意保険統一基準をベースにしている保険会社がほとんどであるため,おおよその金額はわかります。
  ・被害者が一家の支柱であったケース 1700万円程度(1500~2000万円)
  ・被害者が配偶者であったケース 1450万円程度(1300~1600万円)
  ・被害者が18歳未満で未就労であったケース 1400万円(1200~1600万円)
  ・被害者が65歳以上の高齢者であったケース 1250万円(1100~1400万円程度)

 裁判基準での死亡慰謝料及び遺族慰謝料の総額は下記のとおりです。概ね,任意保険基準の1.5倍程度の金額になります。
  ・被害者が一家の支柱であったケース 2800万円程度
  ・被害者が母親や配偶者であったケース 2500万円程度
  ・それ以外のケース 2000万円〜2500万円程度
 なお,「一家の支柱」とは,被害者の方の属する家庭の生計を維持すべき収入の大部分を得ている者で,その者が欠けることによって,当該家庭の生活が著しく困難になる者をいいます。



4 賠償金と相続の関係

 死亡慰謝料をはじめとする遺族慰謝料以外の賠償金は,いったん被害者のもとで請求権が発生したあと,各相続人の相続割合に応じて相続されます。とはいえ,実質的には賠償金が被害者の方の財産を形成していたとはいえないこともあり,相続税の課税対象にはなりません。
 遺族慰謝料は直接遺族のもとで請求権が発生するので,もともと相続の対象ではありません。
 いずれも相続税がかからないことから,死亡慰謝料と遺族慰謝料を区分する必要性が大きくないためか,任意保険基準や裁判基準では総額で基準が設けられています(認定の時点ではそれぞれ区別した金額が認定されます)。とはいえ,相続について争いがある場合や,相続放棄をした場合には,相続の対象となる部分とならない部分を区別する必要性が高く,遺族慰謝料のみでの金額がいくらになるかが重要になってきます。



5 争点としての位置づけ

 死亡慰謝料や遺族慰謝料についてはある程度定型的な認定がなされるため,主たる争点にはなりにくいですが,裁判基準はあくまで目安であり,具体的な事情(事故態様の悪質さや加害者の態度,被害者と遺族の関係など)により増減があり得るので,争いになることはあり得ます。



6 まとめ

 ご紹介した裁判基準は,基本的に弁護士が介入しなければ交渉のベースにすることはできないため,事実関係等に全く争いがない場合であっても,死亡事故の場合,弁護士に依頼するメリットは大きいといえます。
 もちろん,争いがある場合に,ご家族を亡くされて大変つらいなか,交渉のプロである保険会社と交渉を展開するというのは,大きなご負担となりますし,満足のいく結果を得るのは実際上極めて困難ですので,弁護士への依頼が必須です。死亡事故の場合,特に逸失利益については実態に即した金額を保険会社が提示することはなく,交渉や裁判によらなければ適切な賠償を得ることはできません。
 交通事故で家族を突然失ったことの苦痛は計り知れないものです。その大きな苦痛に対して適切な賠償額を相手から受けとっていただくことは,ご遺族の大切な権利であり,亡くなった方のご遺志にも沿うことでしょう。

 H&パートナーズ法律事務所では,死亡事故のご相談も多数お受けしており,ご事情に沿い,ご遺族のお気持ちに配慮したご対応をさせていただきます。ご相談も無料です,一度お話をお聞かせください。なお,遠方の方はもちろん,関西近辺でも,ご来所が難しい方には出張相談を行います。その点もお気軽にお問い合わせください。



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