交通事故コラムcolumn

  • 2019.09.19

交通事故でも生命保険を受け取れる?損害賠償と生命保険の関係について

 事故で亡くなった方が生計を支えておられた場合,損害賠償を受け取れるとしても,やはり今後の生活への不安は尽きません。生計を支えておられた方の場合,生命保険をかけていることも多いと思います。交通事故でも保険金支払いの対象になるのか,損害賠償から控除されてしまわないのか,ここでは生命保険と損害賠償の関係等について弁護士がご説明します。

 



目次

1 交通事故も生命保険の保険金は支払われる?

2 生命保険の特約事項

3 損害賠償と生命保険の関係

4 生命保険は相続の対象?

5 まとめ



本文

1 交通事故も生命保険の保険金は支払われる?

 将来のご病気などを懸念されて生命保険に加入される方が多いためか,交通事故では生命保険の支払いが受けられないと誤解される場合がたまにありますが,一般に生命保険の支払事由は被保険者が亡くなることのみですので,原因を問わず(もちろん,免責期間内の自殺など免責事由に該当する場合は除きます。),すなわち交通事故による被保険者の死亡であっても,受取人に指定されている方に保険金が支払われます。



2 生命保険の特約事項

 保険契約には様々な種類の特約が用意されています。死亡事故との関係で関係では,災害死亡給付特約といった名称の特約が重要です(名称は保険会社によります)。
 この特約は,「不慮の事故」を直接の原因とする死亡の場合に,死亡保険金を上乗せしてもらえるという特約です。「不慮の事故」とは,急激かつ偶発的な外来の事故のことで,交通事故は基本的に該当しますが,被保険者が無免許運転や酒酔い運転をしていた場合など,免責事由に該当してしまうと支払いを受けられないので注意が必要です。支払事由や免責事由はもちろん約款に記載があるのでご自身でも確認できますが,保険会社の担当者に直接確認するのが確実かつ簡便でしょう。



3 損害賠償と生命保険の関係

 交通事故の被害者は加害者に対して損害賠償請求をすることができます。では,交通事故における損害とはいったい何を指しているのでしょう。
 裁判所は損害について,差額説と呼ばれる考え方を採用しています。差額説とは,交通事故がなかった場合の財産状態と,交通事故があった結果である現在の財産状態とを比較して,その差額を損害と考えるものです。本来あるべき財産状態から,交通事故のせいでどれだけ財産が減少したのかを損害として評価する,ということです。
 しかし,交通事故によって必ずしも財産が減少するばかりとは限りません。社会保障による給付を受けたり,香典を受け取ったり,被害者自身の加入する人身傷害保険等から保険金を受け取ることもあります。損害の考え方と似ていますが,交通事故がなければ得られなかったであろう利益を得た場合,給付の種類によっては損益相殺として賠償額から控除されることになります。
 どのような給付が損益相殺の対象となるのかは給付の性質などから決まります。では,生命保険の保険金は損益相殺の対象になるのでしょうか。交通事故がなければ受け取れなかったお金ともいえ,損益相殺の対象になるようにも思えます。
 この点については最高裁が次のように判示しております。

 「保険契約に基づいて給付される保険金は,すでに払い込んだ保険料の対価たる性質を有し,もともと不法行為の原因と関係なく支払われるべきものであるから,たまたま本件事故のように不法行為により被保険者 が死亡したためにその相続人たる被上告人両名に保険金の給付がされたとしても,これを不法行為による損害賠償額から控除すべきいわれはない」(最判昭和39年9月25日民集18巻7号1528頁)

 結論として,生命保険の保険金は損益相殺の対象とならず,賠償額から受け取った保険金の額が差し引かれることはありません。
 理由としては,生命保険の保険金は単に支払時期が不確定なだけで債権(保険会社への保険金請求権のこと)自体はすでに発生しており,交通事故により債権を取得したわけではない,保険金は保険契約に基づいて保険料を支払った対価であって交通事故により発生したわけではない,といったものが挙げられます。



4 生命保険は相続の対象?

 受取人は自分だけど,生命保険を契約していたのも被保険者も亡くなった家族だから,生命保険の保険金は亡くなった家族の財産であって,相続の対象になるのでは…?と思われる方もいるかもしれません。
 しかし,保険金は受取人に直接支払われるため,亡くなった方の財産ではなく,初めから受取人の財産になります。ですので,相続の対象にはなりません。死亡事故の場合,加害者への損害賠償請求権は相続の対象になることから,相続放棄をすることは稀ではありますが,仮に相続放棄をしても生命保険の保険金を受け取ることはできます。
 もっとも,相続の対象ではないとはいえ,経済的な観点からは保険金の受取りは財産を相続したのとほとんど異なりませんから,税制上「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。死亡保険金には一定額が非課税とされていますが,相続人でなければ適用を受けられず,相続放棄をしたうえで死亡保険金を受け取った場合は適用がないので注意が必要です。



5 まとめ

 交通事故というと,自動車保険にだけ注目しがちですが,死亡事故であれば生命保険の保険金も当然に支払われます。生命保険の保険金は損益相殺の対象とならず,賠償金とは別にそのまま手元に残るもので,あるとないとでは残された家族にとっては大きな違いです。
 死亡事故の場合,弁護士が介入することで賠償金の額が大きく増額しますので,弁護士にご依頼することを強くお勧めしますが,H&パートナーズ法律事務所では相手方への損害賠償請求に関することのみならず,ご依頼者様がお困りのことであれば可能な限りご相談に乗らせていただいております。損害賠償と直接は関係しない事柄でもお困りのことがあれば,まずは無料相談へお越しいただき,なんでもお話しをお聞かせください。なお,当事務所は兵庫県川西市,梅田,高槻に拠点がありますが,遠方の方はもちろん,関西近辺でも,ご来所が難しい方には出張相談を行います。その点もお気軽にお問い合わせください。



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