交通事故コラムcolumn

  • 2019.06.14

遷延性意識障害,症状固定後の治療費は支払われない?将来治療費の賠償についての考え方

交通事故に遭った夫の意識が戻らない…。脳幹部分が生きていれば,脳死ではなく,「遷延性意識障害」という状態で,意識が戻る可能性もあります。とはいえ,自力での生命維持は困難で,今後も長く入院や加療を受ける必要が見込まれます。ところが,症状固定(これ以上治療を続けても病状が改善されないと医師が判断した時点)以後の治療費は原則として賠償の対象となりません。ただし,重度障害が遺り,症状の悪化を防いだり,生命を維持するために必要な治療費については,将来治療費として賠償請求することができる場合があります。具体的にどのような費用を請求できるのか,弁護士が解説します。

 



目次

1 治療費についての基本的な考え方

2 将来治療費の請求が認められる場合

3 遷延性意識障害の場合

4 入院中にかかる諸費用

5 まとめ



本文

1 治療費についての基本的な考え方

 交通事故により生じた怪我等の治療費は,原則として加害者に請求できますが,全ての治療費の支払いを受けられるとは限りません。請求できる治療費は,治療をすることによって症状を改善することができるものに限られ,それ以外のものは不要な治療と扱われてしまうのです。
 これ以上治療を続けても症状が大きく改善することはないと医師が判断した時点が,症状固定日といわれるもので,その日以後にかかった治療費は原則として請求することができません。
なお,症状固定した時点でも何らかの症状が残り,その症状が後遺障害と認定されれば,別途,後遺障害慰謝料を請求することができるので,症状固定後に一定の治療費が生じうるとしても,後遺障害慰謝料に織り込まれているとみなされるのです。

2 将来治療費の請求が認められる場合

 上記のような治療費の考え方は,治療の効果は上がらなくなったが,放っておいても悪化するわけではなく,ただ経過観察などのために時折通院を要することもある,といったような通常の怪我を念頭においたものです。
 しかし,中には,今後も治療を継続しなければ症状が悪化してしまう場合や,生命維持のために一定の医療行為が必須な場合もあります。また,そのような継続的な治療とは別に,成長に伴って将来的に確実に手術が必要となる場合もあります。
 そのような費用についてまで後遺障害慰謝料に織り込まれているとはいえませんから,例外的に,将来治療費として請求することが認められています。ただし,あくまで例外的な類型ということになるので,将来にわたる治療や手術の必要性があること,その費用の概算などは,医師の協力も得ながら立証する必要があります。

3 遷延性意識障害の場合

 事故により遷延性意識障害となってしまった場合,ご本人が自力で生命維持のための活動をすることが不可能なのは明らかですから,生命維持のために費用がかかること自体の立証は難しくありません。
ご本人に,家で介護できる身内がいなかったり,医療状態からして在宅介護が不可能な場合は,原則として平均余命までの入院費用を請求できます。在宅介護を予定している場合でも,介護のための準備期間などで入院が必要な場合は,その期間の入院費用を請求することができます。将来の入院費用は,それまでの入院費用などを参考に算定することになります。
 なお,医療行為にもよりますが,入院医療費よりも介護費用(在宅で介護を受ける場合や介護士施設に移る場合)のほうが高額になる可能性があります。入院を前提に将来治療費を受領した場合,その後,退院して介護施設や在宅介護に切り替えると,将来治療費として受け取った賠償額では介護費用をまかないきれなくなることも考えられます。したがって,請求時には将来の本人の生活や医療・介護の見込みをよく考えて,療費を請求するか,将来介護費として請求するかについては,慎重な検討が必要な場合もあります。

4 入院中にかかる諸費用

 入院中に入院費用とは別に介護用品等の購入が必要になる場合もあります。入院を要する期間1日あたり一律で1500円を入院雑費として請求できるため,そこからまかなうことになります。

5 まとめ

 本来は請求が難しい将来治療費ですが,遷延性意識障害の場合は将来的な治療の必要性が明らかですので,請求自体は難しくありません。ただし,入院継続を前提として受け取れる将来治療費は,在宅介護を前提とした将来介護費よりも低額となる可能性があるので,いずれを前提として請求するかは,在宅介護が現実的に可能であるか等を含め,様々な観点からの検討が必要になります。
 当事務所では経験ある弁護士が,寄り添いながら適切な賠償額を得られるためにお手伝いをさせていただきます。一人で抱えることなく,いつでもご連絡をお待ちしております。なお,遠方の方はもちろん,関西近辺でも,ご来所が難しい方には出張相談を行います。その点もお気軽にお問い合わせください。
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