交通事故コラムcolumn

  • 2019.05.14

怪我はよくなったけど傷痕が残ってしまった…。傷痕について後遺障害として認定してもらえる場合とは?

交通事故で顔に傷跡が残ってしまった。結構大きな傷跡で人目も気になるし,今後,接客や営業をするときに不利になるのでは…。このような場合,「外貌醜状」として後遺障害等級の認定を得て賠償金を受け取れる可能性があります。どんな傷痕であれば後遺障害と認定されるのか,弁護士が解説します。

 



目次

1 外貌醜状とは?

2 傷痕の部位や程度と後遺障害等級の関係

3 後遺障害慰謝料の額

4 逸失利益の算定

5 性別や年齢で判断や金額が変わる?

6 まとめ



本文

1 外貌醜状とは?

 「外貌醜状」とは,頭や顔,首といった日常露出しており人目に付きやすい部分に,人目に付く程度の傷痕が残ってしまった状態をいいます。腕や脚に傷痕が残ってしまった場合,「外貌醜状」には含まれないものの,後述するように,「醜状障害」として後遺障害認定を受けられる余地があります。
 傷痕はその形状により,瘢痕(ケロイドや引きつれ),線状痕(裂傷などによる線状の傷痕),組織陥没などと分類されます。

2 傷痕の部位や程度と後遺障害等級の関係

(1)頭部・顔面部・頸部に傷痕が残った場合

 これら頭部等の日常的に露出する部分を「外貌」と呼びます。この「外貌」に傷痕が残った場合,傷痕の部位や程度と後遺障害等級の関係は下記のとおりです。複数の傷痕が近接して存在する場合は,それらの面積や長さは合算して取り扱われます。なお,眉毛や頭髪等に隠れる部分については,人目に触れないということで原則的に外貌醜状とみなされないので注意が必要です。

 ①12級14号「外貌に醜状を残すもの」
  次のいずれかに該当する場合で,人目につく程度以上のものをいいます。
 ・頭部に残った鶏卵大以上の瘢痕または頭蓋骨の鶏卵大以上の欠損
 ・顔面部に残った10円硬貨大以上の瘢痕または長さ3センチメートル以上の線状痕
 ・頸部に残った鶏卵大以上の瘢痕
 ②9級16号「外貌に相当程度の醜状を残すもの」
 ・顔面部に残った長さ5センチメートル以上の線状痕で,人目につく程度以上のもの
 ③7級12号「外貌に著しい醜状を残すもの」
  次のいずれかに該当する場合で,人目につく程度以上のものをいいます。
 ・頭部に残ったてのひら大(指の部分は除く)以上の瘢痕または頭蓋骨のてのひら大以上の欠損
 ・顔面部に残った鶏卵大以上の瘢痕または10円硬貨大以上の組織陥没
 ・頸部に残ったてのひら大以上の瘢痕

(2)腕や脚に傷痕が残った場合

 上肢(腕)や下肢(脚)に傷痕が残った場合でも,後遺障害と認定される場合があります。ただし,顔面等に傷痕が残ってしまった場合に比べて,等級は下がってしまいます。また,「露出面」の傷痕が残った場合に限られ,具体的には,上肢ではひじ関節から手部まで,下肢ではひざ関節から足背部までの範囲に傷痕が残った場合に限られます。
 ①14級4号「上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの」
 ②14級5号「下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの」

3 後遺障害慰謝料の額

 後遺障害慰謝料については,等級ごとに自賠責基準,任意保険基準,裁判基準が存在します。加害者が任意保険に加入していなければ自賠責基準で算定され,任意保険に加入していれば各保険会社独自の基準で算定されます。任意保険基準は,自賠責基準額と大きく変わらないことが多いです。裁判基準は,裁判所が算定する場合の基準ですが,弁護士に依頼すれば,裁判によらずとも裁判基準をベースとした交渉が可能になるため,大幅な増額が見込めます。

 上述の後遺障害等級に対応する慰謝料額は,下記のとおりです。

後遺障害等級 後遺障害慰謝料(自賠責) 後遺障害慰謝料(裁判基準)
14級4号5号 32万円 110万円
12級14号 93万円 290万円
9級16号 245万円 690万円
7級12号 409万円 1000万円


4 逸失利益の算定

 逸失利益とは,後遺障害により労働能力が一部失われたことで,後遺障害がなければ得られたであろう収入との差額をいい,賠償請求することができる損害です。
 どの程度の労働能力が失われたのかは,後遺障害等級ごとに目安となる喪失率が設けられており,後遺障害がなければ得られたであろう収入に喪失率を乗じて算定します。等級ごとの喪失率は下記のとおりですが,外貌や手足の醜状があっても肉体的な労働能力が失われるわけではないため,醜状痕による労働能力喪失率は,争いになりやすい点です。あくまで目安として捉えておくべきで,醜状の具体的な態様や,職業・職種・年齢等によって大きく変動し得ます。

後遺障害等級 労働能力喪失率
14級4号5号 5%
12級14号 14%
9級16号 35%
7級12号 56%


5 性別や年齢で判断や金額が変わる?

 かつては,女性の方が外貌により労働能力に影響を受けやすい,女性の方が外貌を大切にするといった価値観のもと,男女では醜状痕による後遺障害の等級自体が分けられていました。しかし,いまではこのような考え方は差別的であるとして改められており,男女間で等級の認定に差は無くなっています。
 とはいえ,具体的な等級は,客観的な傷痕の大きさなどを基準に認定されますが,賠償額に大きく影響する労働能力喪失率は,職種や年齢によって仕事への影響はずいぶん異なります。例えば,モデル業のほうが傷跡の影響は大きいでしょうし,ほとんど在宅で対面的な仕事が無ければ,影響は小さいかもしれません。このように,その人に一体どのような支障が生じるのかが具体的に判断されることになるため,同じ醜状痕でも,その人の個性・属性により判断が異なることになります。

6 まとめ

 外貌醜状や手足の醜状障害は,特に逸失利益の点で争いになりやすい後遺障害です。多くの場合,治療が終わると保険会社との示談交渉になりますが,保険会社は交渉に慣れており,ご本人が交渉して適切な賠償額を得ることは困難です。また,傷痕が残ったことにより大変なショックを受けているときに交渉をしなければならないこと自体,大きな負担にもなるかと思います。
 弁護士にご依頼いただければ,交渉は全て弁護士が行いますし,交渉のベースとなる基準も,最も高い基準を使うことができるようになります。
 弊所では無料相談を行っておりますので,一度お話をお聞かせください。

相談料・着手料無料

まずはお気軽にお問い合わせください

電話受付時間外土・日・祝日は、メールによるお問い合わせ・相談予約を承ります。

申し訳ありませんが、お電話による法律相談はお受けしておりません。皆様の置かれている状況を正確に把握するため、ご相談は面談のみとさせていただいております。何卒ご了承くださいませ。

川西、宝塚、伊丹で交通事故にお悩みなら弁護士にご相談を|H&パートナーズ法律事務所