事案紹介case

case056 死亡事故

16.6mの車道を急がず横断しようとした歩行者につき,高齢であることを考慮してその過失割合は2割にとどまるとされた事案(事故時80歳女性・家事従事者)

事案の概要

 午後4時5分頃,兵庫県西宮市内の片側二車線,車道幅員16.6mの道路を,加害者が直進進行していたところ,前方に,反対側にあるバス停留所に向かうため横断歩行していた被害者を発見したため,急制動及び右転把の措置を講じたが間に合わず,衝突したもの。  なお,本件道路には中央分離帯が存在し,その上には高さ0.7mの防護柵が設けられていたが,本件事故現場付近では,通行区分標識が設置されていたため防護柵が存在しなかった。また,本件事故現場の西方約85mの地点には横断歩道が,西方約100mの地点には横断歩道橋が存在する。

受傷の状況

脳挫傷等の傷害により,事故から8日後に死亡

自賠責での等級認定

死亡

争点

過失割合

裁判所の判断

〔結論〕 
 被害者:加害者=20%:80%

〔理由〕
 加害者には,本件道路を進行する際,前方左右を注視し,進路の安全を確認しながら進行すべき自動車運転上の注意義務があったところ,同義務を怠り,遠前方に気を取られ,前方左右を注視せず,進路の安全確認不十分のまま漫然時速約40kmないし50kmで進行した過失があると認められる。
 対して被害者には,道路横断の際に,前方(特に車両が走行してくる前右方)の交通の安全を十分に確認しなかった過失がある。被害者は,道路横断の際,急ぐことなく,右側を見るでもなく通行しており,自身が加害者から発見されていることを前提に,加害者車両が減速することを期待してそのような通行をしていたとも思われるが,そのような期待をすることを当然のものとして,被害者を無過失とすることは困難である。なお,被害者が高齢であり,同人の身体能力なども考慮すると,急がずに本件道路を横断したこと自体に問題があったとはいえない。
 加えて,本件道路は,中央分離帯があり,防護柵が設置され,歩道・自動車道・車道が明確に区別された,交通量の多い道路である。このような道路においては,車両の運転者において歩行者が通常横断をしないものと期待すると考えられ,また,歩行者においても,横断をとどまるのが通常であるから,横断が禁止されているのと同様に取り扱うのが相当であり,被害者には,このような道路を横断歩道や歩道橋によらずに横断しようとした過失がある。
 もっとも,被害者は本件事故当時80歳と高齢であり,運動能力や認識能力の低下を考慮して,一定程度,道交法上の義務が軽減されるものとするのが相当である。
 なお,道交法上,歩行者は道路を横断しようとするときは,横断歩道がある場所の付近においては,その横断歩道によって道路を横断しなければならないとされているが(道交法12条1項),かかる規定は,付近に横断歩道(ないし歩道橋)が存在しない場所であれば,どこで横断しようとも歩行者に過失がないことまでを意味するとは解されないし,本件道路の状況等からは,横断歩道買いでの横断について,過失がないと評価することもできない。

【認定損害額】
 治療費・薬剤費     194万8360円
 入院雑費          1万3500円
 葬儀費用        114万7170円
 傷害慰謝料        15万9000円
 休業損害          5万8310円
 死亡慰謝料      2000万0000円
 死亡逸失利益      537万5160円

 ∴認定損害額合計   2870万1500円

出典

大阪地裁平成29年6月27日判決

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