事案紹介case

case023 遷延性意識障害

被害者(中学生男子,当時14歳)が歩道上に佇立していたところ,運転開始前に飲酒していた加害者が,車両を暴走させ,被害者に同車を激突させて,路上に転倒させたもの。

事案の概要

被害者(中学生男子,当時14歳)が歩道上に佇立していたところ,運転開始前に飲酒していた加害者が,車両を暴走させ,被害者に同車を激突させて,路上に転倒させたもの。

受傷の状況

本件事故により,交通外傷(肺挫傷、右血気胸、出血性ショック、心肺停止、肝損傷、骨盤骨折)、蘇生後脳症(低酸素血症)及び脳挫傷(外傷性くも膜下出血)と診断された。

自賠責での等級認定

1級1号 (頭部外傷及び事故受傷後の低酸素脳症、外傷性くも膜下出血、低酸素脳症に伴うくも膜下出血、脳浮腫、脳室拡大・全脳萎縮による意思伝達不能、四肢・体幹の痙性麻痺による常時臥床等の障害)

争点

①公的扶助制度がある場合,医療関係費はすべて損害額として認められるか。
②遷延性意識障害の状態にある被害者が外出するために購入した特別仕様自動車の購入代金相当額の賠償責任は認められるか。

裁判所の判断

①公的扶助が将来にわたって確定的に受けられるか否かは必ずしも明らかではない上、既に受給した部分についても、本来、公的扶助と損害賠償は異なる理念に基づくものであり、公的扶助の支弁者が損害賠償請求権を代位するということも予定されていないことからすれば、公的扶助の存在をもって損害額の認定を左右すべきではない。
②加害者は,脊髄損傷被害者と異なり、頻繁に外出しなければならない必然性はなく、必要に応じてレンタカーないし福祉タクシーの利用を予定すれば足りると主張する。
しかし,現在においても被害者はデイサービスのために週に一回は自動車を利用する必要がある。また,遷延性意識障害の患者に対する刺激の重要性も認められる以上,デイサービス以外にも自動車を用いて原告を戸外に連れ出すことは有用であるともいい得る。一方で、レンタカーや福祉タクシーの利用は、利用料のみならず時間的融通性の観点から問題がないわけではないから,福祉タクシー等を用いずに自家用自動車を用いることが必ずしも不相当とまではいい難い。したがって、本件においては、特別仕様自動車の購入の必要性自体は否定し得ない。
次に,加害者は,特別仕様を除く車両本体の購入費は本件事故と相当因果関係がないとして争う。
 たしかに,一般の自動車の購入自体は通常の生活の範囲内であることから、特別仕様自動車の代金全額につき被害者の損害とするのは相当でないものの、その代金のうち、車両に設置するリフト装置の必要性が認められること,車椅子ごと乗車できる自動車は相当程度限定されていると思われることなどに照らすと,その限りでは,本件事故と相当因果関係のある損害として、二〇〇万円を認めるのが相当である。

【認容額】
<被害者の損害>
 治療費関係費用(症状固定日前) 28,956,593
 入院雑費 757,500
 介護料(付添費) 128,703,755
 家屋賃貸料 0
 訪問看護・訪問入浴代(症状固定日前) 6,670
 ベッドレンタル代 29,200
 エアーマットレンタル代 15,000
 車いすレンタル代 12,000
 車いす修理代 9,270
 医療関係費(症状固定日後) 13,015,699
 介護器具代 16,084,970
 将来雑費(消耗品) 4,113,1312
 特別仕様自動車の購入代 5,916,300
 逸失利益 91,016,830
 傷害慰謝料 5,000,000
 後遺障害慰謝料 30,000,000
 弁護士費用 30,000,000
 自賠責保険 ▲40,000,000
 任意保険 ▲31,225,389
 合計 365,510,000
<両親の損害>
 固有慰謝料 各4,000,000
 弁護士費用 各400,000
 合計 各4,400,000

出典

仙台地判平成21年11月17日 自保ジャーナル 1823号1頁

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