事案紹介case

case025 遷延性意識障害

被害者は,渋滞車線側から,停止車両の間を抜けて,自転車で横断しようとしたところ,逆側車線を直進走行中の加害車両に出合い頭衝突されたというもの。なお,被害者(当時54歳)は前頭側頭葉変性症(FTLD)等に罹患していた。

事案の概要

事故現場である国道は,片側1車線であり,片側車線のみが渋滞していた。被害者は,渋滞車線側から,停止車両の間を抜けて,自転車で横断しようとしたところ,逆側車線を直進走行中の加害車両に出合い頭衝突された。 なお,被害者(当時54歳)は前頭側頭葉変性症(FTLD)等に罹患していた。

受傷の状況

脳挫傷,急性硬膜下血腫,外傷性クモ膜下出血等の傷害。約1年3か月入院後,症状固定。自賠責1級1号遷延性意識障害の認定を受けた。

自賠責での等級認定

1級1号

争点

①入院中の看護は看護師がする病院に入院中,妻が付添看護した場合,入院付添費は認められるか。
②FTLDのうちSD(意味性認知症)に罹患していた被害者の将来介護費用
③SDに罹患する被害者の,後遺障害逸失利益の算定方法(就労可能期間)
④過失割合(片側車線のみ渋滞のため車両停止中,被害者進行道路は市道で加害者走行道路は国道)

裁判所の判断

①交替勤務体制などにより入院中の看護は基本的に看護師がすべて行う病院においては,医師が特に家族による付添が必要と認めた場合以外,妻による付添看護は必要ないから,入院付添費は損害として認められない。
②被害者の受傷後余命は,症状固定後8年と認定されるから,介護費用は,1万円/日として,8年分認められる。
 余命期間については,SDを含むFTLDは進行性の神経変性疾患であり,被害者においても,MRI画像で右側頭葉に著しい委縮が認められるか,将来の治療方法の発見可能性等も考慮すると,症状固定後10年と考えるべきとも思える。しかし,本件事故による受傷により遷延性意識障害(いわゆる植物状態)に陥っているから,余命はさらに短縮したとして,8年と考えるのが相当である。
③SDが進行性疾患であること,事故前被害者の認知症,注意障害,相貌失認等といった障害状態を考慮すると,被害者の就労可能期間は3年と認めるのが相当である。また,遷延性意識障害を理由に等級認定1級1号とされているから,労働能力喪失率は100%である。
④加害者:被害者の過失割合を4:6とする。
加害者には,前方不注意の過失がある。
国道は幹線道路であり,被害者が走行してきた市道との関係では優先道路であるところ,被害者は,優先道路である国道の安全確認義務違反があるうえ,渋滞のため停止していた車両の間から国道を横断したことを考えると,著しい過失も認められる。

【認容額】
<被害者の損害>
 治療費 9,665,916
 入院雑費 672,000
 通院交通費 9,810
 休業損害 3,888,518
 入院付添費 0
 将来介護費 23,590,680
 将来雑費 3,538,602
 逸失利益 9,852,812
 傷害慰謝料 3,400,000
 後遺障害慰謝料 28,000,000
 弁護士費用 2,3000,000
<妻・子(2人)の損害>
 近親者慰謝料 各1,000,000
 弁護士費用 各40,000
<実父の損害>
 近親者慰謝料 500,000
 過失相殺60% 200,000
 弁護士費用 20,000
<合計>
 220,000

出典

松山地裁西条支部平成29年3月30日判決 自保ジ2003-2

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