事案紹介case

case050 その他の重度障害

事故後復職したことは本人の特別の努力によるものとして逸失利益が認められ,また将来介護費も認められた結果,1億2659万円の損害額が認定された事案(事故時59歳男性・公務員)

事案の概要

午前9時15分頃,名古屋市内の信号機により交通整理の行われているT字型交差点(東西道路に南北道路が接続)において,東西方向に直進していた被害者運転のバイクと,対向車線を走行し,右折しようとしていた被害者運転の普通乗用自動車と衝突したもの。 被害者は,本件交差点入り口において,右前角が中央線付近にかかる状態で一旦停止し,64m先方の位置に被害者車両を認めたが,先に右折できると思い,右折を開始した。

受傷の状況

第4/5胸椎脱臼骨折,両側血胸,第4胸髄(T4)以下の完全脊髄損傷,両下肢完全麻痺,神経因性膀胱直腸障害,両下肢全廃 等

自賠責での等級認定

別表第一第1級1号
(神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,常に介護を要するもの)

争点

① 過失割合
② 復職し,かつ現実の減給がない場合に逸失利益は認められるか。

裁判所の判断

①について
〔結論〕 
 被害者:加害者=0%:100%

〔理由〕
 加害者は,一旦停止後,右ウインカーを出しながら低速で右折を開始し,3.8m進行した地点で被害者車両に衝突し,初めて被害者に気付いたと供述している。加害者車両の時速を特定は困難であり,加害者は被害者の直近を右折断じがたいものの,他方,右折開始時に,被害者が急ブレーキをかけても衝突を避けられなかった可能性も否定できない。
 とすれば,被害者に軽度の前方不注視が認められたとしても,加害者には著しい前方不注視の過失があること,結果の重大性等を考慮すると,過失相殺は相当ではない。

②について
〔結論〕 
 定年退職までは実収入額を基礎に労働能力喪失20%,以降は年齢別賃セを基礎に67歳まで100%の労働能力喪失を認めるのが相当である。

〔理由〕
 被害者は復職しており,本件事故後,実際に減収等が生じている事実を認めるに足りる証拠はないが,被害者の後遺障害の内容や程度に鑑みれば,本人の特別の努力によるものといえ,定年までは,事故前の実収入額を基礎とした逸失利益を算定する。
 定年後については,定年後の再就労の蓋然性は加害者も認めるところである。また,被害者は,現時点(裁判時点)では,上肢・手指機能に問題はなく,障害者用自動車での通勤も可能ではあるものの,乳部以下の麻痺により腹筋が使えず,車いすへの移乗・移動は腕力だけで行っている状態であり,感覚脱失により褥瘡ができやすく,排尿分コントロールは困難を伴う。加えて,加齢とともに車いすへの移乗動作が困難になり上肢の整形疾患が生じる可能性も否定できず,60歳以降の逸失利益の算定において,労働能力喪失率を低減させるべき必要性や相当性は見出しがたい。したがって,定年以後は,後遺障害の内容や程度,等級に照らし,労働能力喪失率は100%を認めるのが相当である。

【認定損害額】
治療費             1044万9190円
転院時費用              4万0010円
入院雑費              86万5500円
付添介護人経費           62万2364円
入院付添介護費          363万5100円
装具・車椅子購入費        178万5336円
障害者用車両購入費        105万1020円
住宅改造費           1029万1700円
休業損害             606万3593円
傷害慰謝料            347万0000円
後遺障害逸失利益        2470万0330円
後遺障害慰謝料         2800万0000円
後遺障害慰謝料         2800万0000円
将来介護料           3253万9312円
将来車椅子代           204万0400円
将来障害者用車両代        104万0235円

∴認定損害額合計      1億2659万4090円

出典

佐賀地裁平成21年9月30日判決

同カテゴリの事案

相談料・着手料無料

まずはお気軽にお問い合わせください

電話受付時間外土・日・祝日は、メールによるお問い合わせ・相談予約を承ります。

申し訳ありませんが、お電話による法律相談はお受けしておりません。皆様の置かれている状況を正確に把握するため、ご相談は面談のみとさせていただいております。何卒ご了承くださいませ。

川西、宝塚、伊丹で交通事故にお悩みなら弁護士にご相談を|H&パートナーズ法律事務所