事案紹介case

case048 その他の重度障害

キックスケーターの使用中,自動車にはねられた小学生につき,自転車乗車中の過失割合と同様に評価すべきでないとして,3億円弱の賠償が認められた事案(事故時7歳・小学生)

事案の概要

午後5時20分頃,長野県須坂市内の信号機の設置されていない十字路交差点において,被害者(当時7歳) がキックスケーターを使用して横断するため進入したところ,普通乗用自動車を運転する加害者が時速60kmで進入し,被害者に衝突したもの。

受傷の状況

脊髄(頚髄)損傷,脳挫傷,外傷性クモ膜下出血,後頭骨骨折,髄内血種,頸椎骨折,肝損傷,右腎損傷,腹腔内血種,右後腹膜血種,右恥骨骨折 等

自賠責での等級認定

別表第一第1級1号
(神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,常に介護を要するもの)

争点

被害者がキックスケーターを使用していた場合の過失割合

裁判所の判断

〔結論〕 
 被害者:加害者=5%:95%

〔理由〕
 本件事故は,加害者が制限速度を大幅に超過して走行し,徐行することなく,また,カーブミラーを見るなどして左右の安全確認を何らすることなく,加害者の進行方向から見て左方の見通しの悪い本件交差点に進入したという加害者の複数の重大な過失を原因として惹起されたものであるというべきである。
 他方,加害者進行の道路は,被害者進行の道路の幅員よりも広いところ,被害者の側にも,本件交差点を横断するにあたり,加害者走行の道路を走行する車両の有無及び動向について注意を払う義務を負っていたにもかかわらず,これを怠り,キックスケーターに乗って漫然と本件交差点に進入した過失があったというものである。しかし,被害者は事故当時7歳の児童であったことに加え,加害者の前記重大な過失を総合考慮すれば,被害者の過失は加害者の過失の程度に比して極めて小さいと評価すべきである。
 なお,加害者は,被害者の乗っていたキックスケーターは計車両にほかならず,自転車運転の場合と同様の基準に従うべきである旨主張する。たしかに,特定非営利活動法人日本キックスケーター協会のホームページによれば,キックスケーターは自転車のルーツであり,特性上も自転車に最も近い乗り物であると一般に言われていることが認められる。しかし,同ホームページによると,キックスケーターは,機種ごとに構造(開発設計意図や制動装置の有無当)が異なることも認められるから,キックスケーターを使用した者の過失の程度については,直ちに軽車両の使用者と同列に評価したり,あるいは純然たる歩行者と同列に評価するのではなく,具体的事案ごとに考察すべきである。本件のキックスケーターは,片足を載せてもう一方の足で地面を蹴って進む通常のタイプのものであり,特殊な機能を備えているものではなく,被害者の年齢も考慮すると,自転車を運転した者の過失の程度と同等に評価すべきではない。
したがって,前記割合が相当である。

【認定損害額】
治療費              688万8025円
入院雑費              55万8000円
付添看護料            297万6000円
付添交通費,ホテル代等       69万3909円
後遺障害逸失利益        5833万8173円
将来介護費用        1億6390万8173円
訪問入浴費用           121万2737円
頸椎装具費用(3年毎買替)     22万7673円
下肢装具費用(3年毎買替)     45万5418円
車椅子費用(6年毎買替)     319万3113円
バスチェア費用(5年毎買替)    88万6155円
車両関係費            163万9471円
その他機器・用品台        153万9323円
将来雑費            1047万8052円
住宅改修関係費         2229万0480円
傷害慰謝料            420万0000円
後遺障害慰謝料         3600万0000円

∴認定損害額合計      3億0324万0982円

出典

東京地裁立川支部平成26年8月27日判決
自保ジャーナル1947号1頁

同カテゴリの事案

相談料・着手料無料

まずはお気軽にお問い合わせください

電話受付時間外土・日・祝日は、メールによるお問い合わせ・相談予約を承ります。

申し訳ありませんが、お電話による法律相談はお受けしておりません。皆様の置かれている状況を正確に把握するため、ご相談は面談のみとさせていただいております。何卒ご了承くださいませ。

川西、宝塚、伊丹で交通事故にお悩みなら弁護士にご相談を|H&パートナーズ法律事務所